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54、治療に必要な一般的知識

私は自身の発声障害がきっかけとなり、医療の世界に足を踏み入れた。
音声表現に携わってきたものが治療する側の活動もしているので、同業者から相談を受けることもあるが、できる限りのことをするのはもちろん、同時に専門分野の方を紹介することも心がけている。
患者さんには様々な症状の方が存在する。
私の取り組みは、自分の発声障害で体験したことが治療のベースになっているが、それが必ずしも目の前の患者さんに最適な方法とは限らない。
現在のスタンダードな治療法を知ってもらった上で自分に適しているものを選択してもらうのが、患者さんの利益を考える上で大切だと思うからだ。
ここで、医療機関や専門医、治療に関わる専門職についてまとめてみたい。
受診、治療、音声訓練などの参考にしてもらえれば幸いだ。

声の問題の時に、そもそもどこの耳鼻咽喉科がいいですかという質問に対しては、『音声外来』のあるところがいいですよと答えることにしている。
耳鼻咽喉科の中でも、声の問題に精通しているドクターがいるところで、『音声外来』でググると、総合病院でもクリニックでも多くヒットする。
一般的な耳鼻咽喉科では、発声障害についてはあまり詳しくないドクターも多いので、是非専門のところを訪ねてほしい。
専門医がいるところであれば、たとえばけいれん性発声障害なのかそれ以外の発声障害なのかの鑑別診断もしてくれるし、手術の種類や音声訓練についても話してくれるはずだ。
ただ、鑑別診断も治療法も、専門医によって見解の違いがあるので、そのあたりは納得いくまで話をすることになる。
最近は、ホームページなどで手術や治療内容を詳しく公開しているところが多いので、まずはそこで、先生の治療方針や考え方などに触れてみるのも有効だと思う。

音声訓練に関しては、病院やクリニックのリハビリ施設では、主に国家資格である言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist 略してST)が、ドクターの指示のもとに指導にあたってくれる。
STは、専門学校や大学で決められた養成課程を終了し国家試験を受け資格を取得するのが一般的だ。専門科目はもちろん、解剖・生理・病理などの基礎医学を学び、病院実習にも多くの時間を費やすと聞く。
卒業してからは、医療や介護のリハビリ現場が主な活躍の場で、希望する特化した分野だけで活動していくことは難しいと聞いていたが、最近では、STの資格を武器に、声に特化して初めから個人で活動する方も出てきているように見受けられる。

STの訓練を受ける長所は、医療機関と直結している点だと思う。
必要があれば画像診断が可能で、状態を正確に把握しながら訓練できるので、患者にとっては安心だ。
一方、STは、教育の中で、障害に対しての訓練法がある程度確立されていているように見受けられる。それは医学的効果が証明されているからこその安心感でもあり、効率的に多くの患者さんを訓練するにはとてもいい方法だと思うが、マニュアル的な訓練になりがちというきらいもあるように思われる。
もちろん、訓練する人の患者への向き合い方だと思うが、意図がよく患者に伝わっておらず、辛いだけだったとか、なんのための訓練なのか釈然としなかったという声も聞いた。
これは、むしろ自戒の念もこめての意味が大きい。
障害別に分けることができても、目の前の患者さんは一人だということを忘れてはいけないと思う。

また、経験豊富なボイストレーナーが発声障害のトレーニングにあたることも多くなってきている。
こちらは、声楽や演劇、スピーチなど、自身の豊富な経験をもとに独自のメソッドで活躍している方が多い。その職業ならではの発声の感覚もあるので、それまでの患者さんの社会的活動を理解してくれた上で一緒に探求できる先生であれば、双方にとって実りある体験になるのではないかと思う。
資格や呼び名はともあれ、症状に焦点を当ててトレーニングすることが音声訓練となる。

専門医や音声訓練をするトレーナーなど、具体的にここで触れるわけにはいかないが、私自身が体験したことや患者さんから許しを得ていることに関して、対面してじっくり話せる患者さんには、必要に応じて質問にはお答えすることにしている。

発声障害について、様々な情報を提供しているのが『SDCP 一般社団法人発声障害患者会』だ。
発声障害についての説明、専門医のいる病院やクリニック、最新の治療法、発声障害を取り巻く社会情勢など、さまざまなことが網羅されている。
患者同士の交流会や、全国から関係者が一堂に会する総会も行われ、心身ともに支え合う場となっている。
手術やボトックス注射、音声訓練等、ほとんどの人が何かしら体験していて、これから治療を考えている方には、忌憚なく知りたいことは何でも聞ける場になっている。
私も会員になっており、毎回元気をもらって帰ってくるし、また、そうだ!こんなことをしてみたらどうだろうかと、いろんなヒントをもらえる場になっている。
中心になって活動している方はすべて患者自身で、発声障害について先入観なしに知るにはぴったりの場所だと思う。