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48、音声訓練について

発声障害の方で、音声訓練を受けている方も多いと思う。
特にけいれん性発声障害に関しては、音声訓練での改善は難しいというのが医療関係者の認識であると聞くがどうだろうか。

私自身は、症状のひどい1998年頃まで多くの音声外来の門を叩いた。当時はどこへいっても特に声を出しにくいことにつながる異常は見当たらないということだったが、2000年以降にWebなどでけいれん性発声障害のことを知るに至り、当時の自分の症状に酷似していると感じた。
症状はかなり治まったが、時々突発的に症状が出る不安を抱えながら仕事をし、自分に合っていると思われる治療や音声訓練を受けながら今日に至っている。
2013年に一色先生に診ていただいた時には、けいれん性発声障害と思われる所見はないということだった。その頃には、一般的な会話では聞いているぶんには症状は出ていないように聞こえるが、私自身は細かい詰まりや小さな震え的なブレという違和感があることを感じ、時折その違和感は、主に仕事場(ナレーション)の始まりの部分で数分間大きく出ることがあった。
2016年の今現在は、普段はほとんど忘れているぐらい症状は出ていない。
ただ、寝る前に、スマホのSiriに向かって『7時半に起こして』という時とボイストレーニングのはじめの一声では、お約束のように必ず震えが出る。
仕事(ナレーション)の時は最初の数分間、あと一歩で震えがガーっと出そうなエッジに立っているような感覚の時もある。数分するとその感覚はなくなり、パフォーマンスは以前より向上していると感じている。

頻繁に音声外来で診てもらった頃は、まだけいれん性発声障害という病が一般的ではなく、そういう診断も受けてはおらず、結局は病名はわからないのだが、私自身のこの二十数年の観察では、初期はけいれん性発声障害に近いもので、中期以降からその症状が出ることによって体験した恐怖や嫌な体験から症状が引き起こされるようになった機能的な発声障害に徐々に移行していったのではないかと分析している。

前置きが長くなったが、そういう変遷を経てきた私の発声障害にとっては、音声訓練はものすごく役に立った。
いろいろな治療法を受けてきたので、音声訓練そのものというよりも相乗的な効果があったと感じているが、特に音声訓練に関しては、何人かの先生からトレーニングを受けてきた。
日常ではそれほど強く症状が出なくなっていた頃、ある先生についていろいろな声の出し方をトレーニングしている最中に、声が詰まる震えるという上手くコントロールできない時と同じ感覚が、突然、ガッと再現された時があった。
その発声の時に喉頭でどういうことが起こっているのか先生が説明してくれたことにすごく納得がいって、音声訓練で再現されたこの感覚をトレーニングによって根気強くつぶしていけば、普通の会話や仕事の発声にも反映できるんじゃないかとひらめき、私に必要な音声訓練だと思って続けた。
その結果、震えや詰まりが出そうな感覚はぐっと減り、症状が出ても消失するまでの時間も短くなったと自覚している。
ここ5,6年の症状に効果的だったので、もしかしたら症状がひどい時にはコントロールできているのかどうか自覚できなかったかもしれない。
もっとも、症状がひどい時は思うように声を出せない自分に向き合うことが怖くて、呼吸法を中心にしたボイストレーニングでお茶を濁していた。
勇気を持って、ガッツリ声を出すことをしていたら、また何か発見できていたかもしれない。もしくは辛い現実にもっと傷つき、音声訓練は二度とごめんだと思ったか…。

患者さんもいろいろで、けいれん性発声障害自体、鑑別診断が難しいと聞く。
音声訓練の効果はもとより症状の強さも様々だし、また時間が経つにつれ、自然に良い方向に向かって変化している患者さんも存在する。
私が診たり話したりした患者さんでは、時折アトランダムに詰まりが出るだけのけいれん性発声障害の患者さんや、数年かけて自分で感じる違和感はあるものの外から聞いてもわからないぐらいに軽減した方も、また音声訓練に関しては、できないことが多すぎて、音声訓練では変化は期待できないと感じたという患者さんもいる。

もしかしたら、今けいれん性発声障害と診断されている患者さんでも、鑑別に難しい方や違う由来の患者さんも混在していて、そこらへんが病理学的にはっきりしてくると、音声訓練でも、有効な患者さんとあまり効果がない患者さんがわかるのかもしれない。
とりあえず、次回から、今の段階で、どういうところに注目して、どんな音声訓練をしているのか、私の場合を具体的にまとめていきたい。