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45、張り巡らされているわけありルート

前回は、本治について、私が体験した治療を元に書いてみた。
ある一箇所へのアプローチで、散在する圧痛点や違和感が消失したこと。
ふと気づくと発声の違和感も軽減していたこと。
問題の局所に何かを施すのではなくても、そことつながりのある場所、そこの不具合を作っているところにさかのぼっていければ、関連のあるところが自然に消滅していく。

イメージとしては…
身体の複数の場所に散在する痛みや違和感という問題点があるとする。
問題点のいくつかは、あるもののせいで起こっている。そのあるものを『チンピラ』と名づけてみる。
さらにその『チンピラ』は、もっと大物の指令で活動を続けているとする。その指令を出すものを『ボス』と名づけてみる。
『ボス』を退治できれば『チンピラ』も一網打尽、その代償で出ていた問題も解決するということだ。
問題の局所も『チンピラ』も『ボス』も、『わけありのルート』でつながっている。
身体に戻ると、そのわけありルートは、筋肉、リンパ系や血管系という器官系のつながりであったり、さらにその器官系をまたぐ筋膜や経絡というつながりだ。

前回、私が体験したことを簡単に紹介したが、
『ある時は、横隔膜の筋力低下を是正し、下垂気味の胃をリフトすることで、肩こりの痛み、背中、腰の圧痛がなくなり大腰筋の筋力低下がなくなった』
『またある時は、頭蓋のある場所のリリースで、首の凝りがなくなり、ゆるゆるだった腸骨筋の筋力が戻り、仙骨上の違和感もなくなった』
というのを『わけありルート』に沿って説明すると、横隔膜は、酸素というエネルギー源の供給を助ける点であらゆる器官への影響が大だ。
胃に連なる食道は横隔膜を貫き、横隔膜、食道、胃は、筋膜でつながっている。
胃と背中、腰の筋肉、大腰筋も筋膜つながりで影響しあう。
また、胃のリンパの流れを促進する反射のポイントは、AKでは第6、第7胸椎の間であるとしているので、背中の凝りはこれと関連しているのかもしれない。
さらに、AKでは、大腰筋は腎臓とつながりの深い筋肉で、腎臓のリンパの流れを促進する反射ポイントは、第12胸椎と第1腰椎の間であるとしているので、腰の圧痛はこの場所と関連しているかもしれない。

ここでのボスである『横隔膜の筋力低下の是正』というポイントは、AKでは横隔膜の神経支配を促進するポイントだと第3から第5頚髄、横隔膜のリンパの流れを促進するという反射ポイントだと胸骨全体、血流を促進する反射ポイントだと頭蓋骨の頭頂部分ということになる。
ボス退治のポイントは、問診や触診、筋力テストなどで、首か胸か頭蓋骨で変化する部分を選んだんだと思う。
ここ一点で、関連する場所全てが解放されたということだ。
ボスに行き着く過程は、問題のある箇所を集約して変化させるポイントを、どんどんさかのぼっていく。
理論的思考が苦手な私はすごく苦労するが、それでもはっきり変化を見せてくれる場に立ち会うと、身体はホントにつながっているんだなぁと感動する。

『頭蓋のある場所のリリースで、首の凝りがなくなり、ゆるゆるだった腸骨筋の筋力が戻り、仙骨上の違和感もなくなった』というのは、硬膜系というラインだったのかもしれない。
脳と脊髄を包む硬膜という膜は、頭蓋、脊柱、仙骨をつなぎ、硬膜系と言われるわけありルートになる。
頭蓋骨や仙骨自体の片寄った動きがあったり、またそれをつなぐ硬膜にねじれがあると、神経や血管を圧迫されるなどして通りが悪くなり、ライン上に問題が出てくる。
つまり、頭蓋骨の歪みで腰に痛みが出ることもあるということだ。
硬膜系への働きかけは、頭蓋骨や仙骨のわずかな動きを拾うことによって行う。
このブログでは、過去にも『クラニオ・セイクラルワーク』として登場している。

またどのライン上でも、ある一箇所の緊張やこわばりは、筋膜を通じて全身どこにでも波及する可能性がある。筋肉だけではない。筋膜は、内臓や血管、神経も包みこんでつながっている。
以前ここで『ロルフィング』というボディワークを受けた時のことを書いたが、ロルフィングは、まさにこの筋膜というつながりに働きかけているものだ。

イメージとしては…
シーツの端を持ち上げると幾重ものドレープができる。
シーツ全体が筋膜で覆われているもので、掴んでいる場所が緊張やこわばり、ドレープは、筋膜のつながり上にある痛みや痺れ、違和感だ。
末端のドレープを伸ばしても、掴んでいる部分を開放しない限り、またすぐドレープができてしまう。

このような様々なつながりの末端に、喉頭の問題が位置しているとしても不思議ではない。
症状が軽減されるということは、ボスにつながるラインをストレートに辿ることができていなくても、少なくともわけありラインはかすっているということだ。
そのラインをコツコツ解いてきたことの積み重ねで、私自身は変化してきたと思っている。
だから、本治につながるわけありラインというのは大切だと思う。

いろいろな治療を受ける時は治療者まかせにしないで、どこに何をしているのか興味を持ってほしい。
患者と治療者が、同じイメージを共有できた方が効果は大きい。

次回は、ストレスとは何ものか感じてみたい。