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22、インナーチャイルド

友人からの提案に興味を抱いたのは、西洋医巡りに区切りをつけざるを得ない状況で、新しい試みでも行きつ戻りつを繰り返していた頃だ。

自分は気づいていないけれど、幼い頃の欠乏感や理不尽な思いや怒りを癒すことのないまま大人になり、傷ついた心を守ろうと、本来の自分からまずます離れた生き方をしてしまうことがある。そんな幼い頃の傷ついた自分『インナーチャイルド』、内なる自分に気づいてあげることが、今の自分をも癒すことにつながる。
そんな話を聞いた。

メンタル的なことに関しては、自分の表現を模索する中で、極端に偏った声の使い方をした背景に心理的な縛りがあったと、心の中に落ちてくる出来事があった。
過去の自分を否定することで、前に進もうとした自分をもう十分分析することができている。
そう思っていた。
さらに過去と向き合う?

私自身は、過去を掘り起こすこと自体、あまりクールではないと感じるタイプ。
もういいから、次!次行こうよ!そういうタイプだと思っている。
ならば、そんな私が、自分の中には、癒されず閉じ込めてきたものがある。そんな前提で自分の心を覗いてみることは、逆転の発想で何か新しい発見があるかもしれない。
そんな気がした。

ふと浮かんだのが、症状がひどくコントロールがきかず、何かに乗っ取られていると感じた時に、思わず口をついて出てきた言葉、『グレてやる!』
誰に向かって言っているのだろう?
もちろん、自分に向かって自分が放った言葉なのだが、そういう言葉を吐くこと自体、自分の中の誰かを意識したのかもしれないと思った。

存在するかもしれないインナーチャイルドを意識した途端、その子はアッサリ登場した。
と言っても、体験記のように劇的なものではない。
『とりあえず、居るんだったら名前教えなさいよ』そう疑い深く心の中でつぶやいたのち、ある朝目が覚めたら、あれ?なんか大切な夢見たような気がする…
えと、ビートルズ?アクロス ザ ユニバース…が、ヒントだよ…そう言われたかすかな記憶が…
あくろすのくろす…クロス…クロス?
『そうクロスだよ』
と、その子は答えた。
と言っても映像があるわけでも声が聞こえたわけでもなんでもない。
なんか大切な夢みたような…から始まって、記憶の尻尾を掴んだ瞬間、まるで私の脳内に閃光が走ったように、『クロス=私のインナーチャイルド』が落ちてきた。

事が進展したらなら話は早い。と思った。
あわよくば、この病名もつかず奇妙な状態の症状を、クロスが暴れているとして、その理由に耳を傾けて、一刻も早く折り合いをつけたい。
そんな私の気持ちを見透かしたのように、名前は教えてくれたがそれ以降肝心なことは語ってくれない。
時々暴れては、時々ご機嫌になる。
『ちょっと、あんたでしょ?なんか言いなさいよ』と悪態ついてみても、時々暴れては時々ご機嫌のスタンスは変わらない。
でも、ふと気づくと、ご機嫌の時は私自身も晴れ晴れと楽しい気分を味わっていることに気づいた。まだまだとOKを出せなかった自分から、よかったねと言える自分。
そして、一緒に喜ぶ相手はクロスだ。

暴れている時は、深追いして自分を罰しなくなったと感じた。
『ったくしょうがないね』
『大変だけど続けていくよ』
以前の理不尽な思いを伴う怒りの質が少し変わった。
そういうこと自体が自分の一部なんだろうなと。
せつなさを伴ってそう感じた。

インナーチャイルド邂逅事件は、結局はよくわからない。
時空を超えて旅するような、価値観が変わるような、それで私の人生はこんなに変わりました的な劇的なことは起こらなかった。
しかし、自分の中の誰かを感じることで、自分と親和性のある誰かの仕業と感じることで、自分に起こった出来事を忌み嫌うことなく少し客観的に観ることができて、そして以前より受け入れられたと思う。

正直に言うと、病に関して、メンタル的なことやスピリチュアル的なところに、まず原因を求めることは、あまり好きではない。
それは人から押し付けられることではなくて、病に向き合う中で、自分で扉を開けて自分で意味を見出すことだ。
それでも変化することもあれば、変わらないこともある。

病が重いほど、長引くほど、原因がわからないほど、患者は自分を責める。
病は、さっさと治すに越したことはない。
治療法が確立されているなら、迷うことなく受け、一刻も早く平常の生活に戻り、病に費やすエネルギーを本来の人生の営みに費やしたい。
それが、平和な人生を送るためのストレートな道筋だ。

それを許してくれないのは何なのだろう?
時々、私はホントはグルグルしているのが心底好きで、実は自分でこの状況を選んでいるのではないかと絶望的になる時がある。
私のインナーチャイルド邂逅事件は、ほんのプロローグと言わんばかりに次の展開が待っていた。