この記事のみを表示する『ノンフィクション発声障害』について

はじめに

※この記事は、トップに来るように設定してあります。

患者であり治療者であり音声表現者である立場から『発声障害』について書いていきます。

どうせ書くならただの症例報告ではなく、身体と心の両面に起こったことをまとめたいとノンフィクション形式にしました。

発症からほぼ寛解に至るまで、扉を叩いたクリニック、試した代替医療、エクササイズ、仕事上の軋轢、時々でのメンタル…
患者であり治療家であり音声表現者である身として、体験したこと思ったこと感じたことをまとめました。

そうなんだよね。そうっかぁ…と少しでも共有できることがあれば嬉しく思います。

なお、症例やわたくし以外の患者さんのことに関しては、ご本人の承諾を得て掲載させていただいております。


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発声障害について多くの方と共有できればと思いますので、
リンク先などご一報いただければ嬉しいです。
ご意見、ご感想も大歓迎です。
こちらまでお願いします。

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この記事のみを表示する56、患者会出席しました

56、患者会に出席しました

先日、SDCP発声障害患者会の第3回総会に出席しました。
そして、なんとパネルディスカッションで、患者の立場で受けてきた治療について話す時間をいただきました!
このブログに書いてきたことをどうコンパクトにまとめるか悪戦苦闘(・・;)
症状の節目節目で出会った治療法についてお話させていただきました。

時間オーバーしそうだったので、興味のある方は、こちらのブログで読んだいただければと、ブログ名だけご紹介しましたが、
頭蓋仙骨療法については、12話あたりから19話あたりまで。

お背後さまに関することは、スリーインワンコンセプトというワークとの兼ね合いで出てくるので、
23話あたりから26話あたりだと思います。
興味を持っていただけた方は、どうぞご覧下さい。

総会の後の交流会でも、多くの方とお話できて楽しかったです。
毎回いろいろなヒントがひらめきます。
今回は、自分がしてきたことをじっくり振り返る機会になり、
時間を置いて振り返ると、また試してみたいこともいろいろアイディアが湧いてきました。
またコツコツ書いていきますので、よろしければ時々のぞいてください。
そして、みなさんのひらめきも、ぜひきかせてください(^^♪






この記事のみを表示する55、2年ぶりの患者さん

55、2年ぶりの患者さん

以前通ってくださっていた患者さんが、2年ぶりに受診してくれた。
このブログの一話目で書かせていただいた患者さんだ。

簡単に経緯を説明すると、けいれん性発声障害の患者さんで喉頭2型の手術を2回受けている。
徐々にまた詰まりが出始めて、一度鍼灸治療と手技療法を受けてみてはどうでしょうという担当ボイストレーナーの紹介で来院。
話を聞いて身体をチェックすると、ケガの後遺症とみられるところがあちこちに点在していて、
特に首周り、肩甲骨の内縁、肩上…。さらにその時は、右大腿骨の手術から数ヶ月たっていてボルトが入っていた。
故障箇所が多かったり、日常的に痛みを抱えていることが、さらに発声に対してもストレスとなり負のループを形成していくことを理解していただき、
全身治療をメインに、音声訓練は一割程度で続けた。

圧痛点が少なくなり、微妙な筋力低下もなくなることを指標に、鍼灸と手技療法で治療。
特に、脳脊髄液の還流に働きかける頭蓋仙骨療法は、神経系を健やかに保つという解剖・生理学的な観点から、神経系の疾患の患者さんには欠かせないと思っているが、
私自身が体験して一番いい治療法だと感じているので、取り入れることにした。

2ヶ月間で11回目の治療で、今までにない嗄声になったが、詰まり、息苦しさがまったくなくなり楽な発声に。
その後一ヶ月ぐらいの間に徐々に嗄声がなくなり、ほとんどストレスのない通常の会話ができるようになった。
ここ2年は、実際に診ていなかったが、メールなどで、時々声を出しづらいと感じることはあるものの、安定して出せていると聞いていた。

『首が硬いんですよ』が第一声。
今回2年ぶりにお会いした患者さんは、通っていらした当時より数段お元気そうに見受けられた。
声はハスキーながら普通に聞き取れ違和感はなく、詰まりもほぼ感じられない。(すごく厳しく聞くと、たまに、あ、今そうだったかな?という程度)
鉄道関係のお仕事で、駅のアナウンス業務などもあるが、以前は一番つらかった仕事が今は問題なくできているそう。
聞いた感じでは普通でも、声を発しているご本人が、水面下でコントロールして相当辛いということもあるので、そういう感じはどうか聞いてみると、
時々出しづらいと感じることはあるけれども、辛い感じはないと。

ただ、いつも風邪をひいているようなかすれ声が気になるということ。
また、首、肩、喉頭周りが硬く凝り感があり、近くの接骨院でその部分をほぐしてもらうと声は出しやすくなるそう。
声は出しやすくなっても、多分力が入っているんだろうなと、ご自分で分析され、
それでも、ほとんど声のことを忘れている時が多くなり、手術を受けてよかったとおっしゃる。


私のチェックでは、右肩甲骨の内縁にかなりの圧痛、以前骨折した左上腕骨の外側上際と内側にも飛あがるほどの圧痛、首は圧痛点はないが凝り感あり。
右大腿骨のボルトはとれて、不自由なくランニングが楽しめるようになったが、左ふくらはぎに日常的に張りを感じるという訴えがあり、
左膝窩部に触れてみると圧痛があり、仙腸関節も左側に鋭い圧痛がある。

甲状軟骨の動きは以前に比べて柔らかく、舌骨との間は以前より開いている気もする。
長音は途切れ途切れ、裏声から地声の連続も辛そう。音声チェックより話すときの方が、よほど物理的ストレスが少ないと感じた。

治療は、筋力バランスをチェックし圧痛のひどいところに置鍼した後、頭蓋仙骨療法をした。
凝りを外力で解そうとするより、その患者さんの体内リズムにチューニングして動きをつけた方が、最小の刺激で深部の凝りを解放できる。
また仙骨、下肢の問題は、頭部や首から、硬膜を通して派生することも多い。
日常的に首に緊張感があれば、その可能性は高いので、頭蓋仙骨療法は、全身のバランスを整える有効な治療法だと思う。

治療法の効く効かないは人による。
何を持って治ったとするかも人それぞれだ。
その点、私は厳しい。普段は全く気にならないが、なにかの折に一瞬詰まったり震えたりすると、あぁまただと思う。
声の仕事の時になると違和感や小さなつまりは増すし、発作が出るかもしれないという不安感が存在すること自体、
未だこの病に縛られている証拠だと思う。
でも、確かに変わってきた軌跡は存在するので、その変化を大切にしたいと思う。
そして前にも書いたが、健常な人が体験できない世界を体験できているのだと思うことにしている。

厳しい評価と多少の自虐と、あとは人はトータルで存在しているわけだからいいんじゃない?
この気持ちは、治療に関してもそうだ。
発声障害の原因や治療法のピンポイントは専門家にお任せして、脳の働きの解明も薬の開発も外科的手術も、どんどん進化していってほしい。
私は、とにかく少しでも楽になったと感じてもらえることがあれば取り組んでいきたい。
痛いところや辛いところがあればそれを取り除き、音声訓練で心折れた時はリラックスしてもらい、
トータルで身体がいい方向に向かい、声も出しやすくなれば、それでいいと思う。

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54、治療に必要な一般的知識

私は自身の発声障害がきっかけとなり、医療の世界に足を踏み入れた。
音声表現に携わってきたものが治療する側の活動もしているので、同業者から相談を受けることもあるが、できる限りのことをするのはもちろん、同時に専門分野の方を紹介することも心がけている。
患者さんには様々な症状の方が存在する。
私の取り組みは、自分の発声障害で体験したことが治療のベースになっているが、それが必ずしも目の前の患者さんに最適な方法とは限らない。
現在のスタンダードな治療法を知ってもらった上で自分に適しているものを選択してもらうのが、患者さんの利益を考える上で大切だと思うからだ。
ここで、医療機関や専門医、治療に関わる専門職についてまとめてみたい。
受診、治療、音声訓練などの参考にしてもらえれば幸いだ。

声の問題の時に、そもそもどこの耳鼻咽喉科がいいですかという質問に対しては、『音声外来』のあるところがいいですよと答えることにしている。
耳鼻咽喉科の中でも、声の問題に精通しているドクターがいるところで、『音声外来』でググると、総合病院でもクリニックでも多くヒットする。
一般的な耳鼻咽喉科では、発声障害についてはあまり詳しくないドクターも多いので、是非専門のところを訪ねてほしい。
専門医がいるところであれば、たとえばけいれん性発声障害なのかそれ以外の発声障害なのかの鑑別診断もしてくれるし、手術の種類や音声訓練についても話してくれるはずだ。
ただ、鑑別診断も治療法も、専門医によって見解の違いがあるので、そのあたりは納得いくまで話をすることになる。
最近は、ホームページなどで手術や治療内容を詳しく公開しているところが多いので、まずはそこで、先生の治療方針や考え方などに触れてみるのも有効だと思う。

音声訓練に関しては、病院やクリニックのリハビリ施設では、主に国家資格である言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist 略してST)が、ドクターの指示のもとに指導にあたってくれる。
STは、専門学校や大学で決められた養成課程を終了し国家試験を受け資格を取得するのが一般的だ。専門科目はもちろん、解剖・生理・病理などの基礎医学を学び、病院実習にも多くの時間を費やすと聞く。
卒業してからは、医療や介護のリハビリ現場が主な活躍の場で、希望する特化した分野だけで活動していくことは難しいと聞いていたが、最近では、STの資格を武器に、声に特化して初めから個人で活動する方も出てきているように見受けられる。

STの訓練を受ける長所は、医療機関と直結している点だと思う。
必要があれば画像診断が可能で、状態を正確に把握しながら訓練できるので、患者にとっては安心だ。
一方、STは、教育の中で、障害に対しての訓練法がある程度確立されていているように見受けられる。それは医学的効果が証明されているからこその安心感でもあり、効率的に多くの患者さんを訓練するにはとてもいい方法だと思うが、マニュアル的な訓練になりがちというきらいもあるように思われる。
もちろん、訓練する人の患者への向き合い方だと思うが、意図がよく患者に伝わっておらず、辛いだけだったとか、なんのための訓練なのか釈然としなかったという声も聞いた。
これは、むしろ自戒の念もこめての意味が大きい。
障害別に分けることができても、目の前の患者さんは一人だということを忘れてはいけないと思う。

また、経験豊富なボイストレーナーが発声障害のトレーニングにあたることも多くなってきている。
こちらは、声楽や演劇、スピーチなど、自身の豊富な経験をもとに独自のメソッドで活躍している方が多い。その職業ならではの発声の感覚もあるので、それまでの患者さんの社会的活動を理解してくれた上で一緒に探求できる先生であれば、双方にとって実りある体験になるのではないかと思う。
資格や呼び名はともあれ、症状に焦点を当ててトレーニングすることが音声訓練となる。

専門医や音声訓練をするトレーナーなど、具体的にここで触れるわけにはいかないが、私自身が体験したことや患者さんから許しを得ていることに関して、対面してじっくり話せる患者さんには、必要に応じて質問にはお答えすることにしている。

発声障害について、様々な情報を提供しているのが『SDCP 一般社団法人発声障害患者会』だ。
発声障害についての説明、専門医のいる病院やクリニック、最新の治療法、発声障害を取り巻く社会情勢など、さまざまなことが網羅されている。
患者同士の交流会や、全国から関係者が一堂に会する総会も行われ、心身ともに支え合う場となっている。
手術やボトックス注射、音声訓練等、ほとんどの人が何かしら体験していて、これから治療を考えている方には、忌憚なく知りたいことは何でも聞ける場になっている。
私も会員になっており、毎回元気をもらって帰ってくるし、また、そうだ!こんなことをしてみたらどうだろうかと、いろんなヒントをもらえる場になっている。
中心になって活動している方はすべて患者自身で、発声障害について先入観なしに知るにはぴったりの場所だと思う。





この記事のみを表示する53、音声訓練が有効なのは...

53、音声訓練が有効なのは...

音声訓練について数回にわたって書いてきたが、訓練内容は患者さんの状態をみながら有効な方法を探しつつ試していくので、個々の変化を理解してもらえるように記述することは難しい。
しかし、患者さんの中には、ご自分に置き換えてその感覚を想像できる方も多いと思うので、なにかヒントになれば嬉しく思う。 
音声訓練の基本は、発声に関する器官の神経回路を適切につなげることで、その基本となる訓練として、私は発声のフィールドを広げるということが大切だと思うので、その考え方に沿って説明してきた。
今後も、患者さんの協力を得てより具体的な症例や変化を紹介していければと思う。

けいれん性発声障害と診断を受けた患者さんでも症状の度合いや出方は様々で、手術やボトックス注射を受けたあとの経過も様々だ。
音声訓練に関しても、患者さんによっては有効な方とあまり効果が見られない方が存在するが、その差は何によるものなのだろうか。

けいれん性発声障害は、中枢神経(脳)の問題で意思に反して声帯がきつく締まる(内転性の場合)運動障害であると言われている。
けいれん性発声障害と診断された患者さんの中には、この脳の指令の問題プラス様々な複雑な問題を内包している患者さんが多くいるのではないだろうか。
脳の指令という純粋な問題の割合が多ければ、手術やボトックス注射という物理的に声帯がきつく締まらなくする治療法に頼らざるをえなく、プラスアルファの問題の割合が多ければ、音声訓練の効果が高いのではないだろうか。

私が診てきた患者さんの中には、声を発することさえストレスという状態が続いて声を出さなくなり、出さないことがまた発声を困難にするという悪循環に陥っているとみられる方や、発声障害と同時に、どこかにケガや長引く後遺症があって発声障害の症状が増悪しているとみられる方、長引く症状にもがいているうちに、発声の特別な癖ができてしまっている方などがいらして、そういう方は、治療と音声訓練で効果はあったと感じている。

また、ボトックス注射は効果があるのは通常3ヶ月ほどと言われているが、患者会で話を聞くと、半年以上経っているが調子を保っているとか、1年以上経つが大丈夫という患者さんもいた。
効力は切れているはずだが締まらないままだということは、随意的にもコントロールできているということではないだろうか。
ボトックス注射と音声訓練を並行して取り入れていくことで、さらに注射の間隔を伸ばしていけるのではないかと注目している。

やっかいなのは、発声障害に伴う不安やショックな体験が心的外傷となって残り、同じような状況で、その記憶が逆に発声障害を引き起こすこと。
これは、本来の発声障害の問題に、さらに脳の別の部分が反応して複雑な回路を作ってしまっているのかもしれない。
私の場合は、ある時期からこっちの方へ移行してしまっている気がする。
以前は、緊張はあっても、職業柄いざ声を出すとちゃんと声が出ていることで徐々に落ち着けた記憶があるが、発症後は、声を出せば出すほど、あ、やっぱりダメだと震えや詰まりが加速する。
心因性は、またそちらを専門に診る方がいると思うが、私は、自分の発声障害の延長上で起こったことなので、発声を通して解消していきたいと思っている。
そして述べてきたように、発声のフィールドを広げるということに無心に向きあえたことで、徐々にどっしりした自分を取り戻してきたと思う。

音声訓練でどのくらい効果があるかは、患者さんのみ知ることだ。
よくなったように聞こえても、水面下ではものすごい違和感と闘っていることもあるし、
日常生活ではほとんど忘れているぐらいになったが、微かに縛りがあることもある。
どれぐらいのレベルで効果があったというのか、妥協するもしないも、よしとするもまだとするも患者さんの評価による。
これは、音声訓練のみならずほかの治療法にも言えることだと思う。
私の中でも、もう大丈夫、やっぱりダメだ、が延々と繰り返されてきた。
それでも、絶望の淵から回復してきた事実は、時々ぶり返すことを差し引いても、充分効果があったと思っている。


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